制服本の本棚(紹介と感想)

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制服本の本棚(紹介と感想)

コミケ戦利品の制服本を紹介します。時々は商用本も紹介したい。私の備忘録要素強めです。

愛知県のセーラー服が可愛い理由。-徹底解説!名古屋襟読本-

制服 セーラー服

「愛知県のセーラー服が可愛い理由。-徹底解説!名古屋襟読本-」
  初恋プチフレア/さといも屋
  2016年8月(C90)初版

制服本といえばイラスト系学校紹介が多い中、評論・情報の色が強い期待の一冊。それだけに読者のハードルを上げてしまわないか心配でもある。名古屋襟という中京圏以外では馴染みがないセーラー服がテーマだ。

本書の構成は以下だ。
<内容>
・愛知県と首都圏のセーラー服の比較
・愛知県のセーラー服の解説(襟カバー・襟デザイン・タイ)
名古屋襟セーラー服の地域ごとの分布
・襟の変化の歴史(金城学院・桜台高校・明和高校・菊里高校・旭丘高校・名古屋西高校)
・有名セーラー服の見どころ紹介(カラーイラスト)
(愛知淑徳・西春・旭丘・明和・天白・津島東・豊田西・刈谷北・加納・桑名、公立中学8校)


導入はマンガで始まる。他県では見られない愛知特有のセーラー服が存在することを、首都圏のセーラー服と対比して説明する。次に愛知セーラー服の特徴を、襟カバーの存在、襟デザイン・タイのバリエーションをで図解する。私が住んでいる東京はただでさえセーラー服は少なく、それなのに愛知はセーラー服だらけで、しまもそれが水色襟や親子ラインだったら、きっとたまげてしまうだろう。そのデザイン性の豊かさがセーラー服王国である”愛知県のセーラー服が可愛い理由”と感じた。できれば、せっかくデザインを紹介しているのだから、採用校を実名で記載してもよいと思うが、露出を控えめにしたい作者なりの考えがあってのことだろう。

次に名古屋襟の分布について。それぞれ見られる学校の分布が述べられる。意外とエリアは広くなく、地域密集で分布している印象を持った。なぜ、そのような特異な分布になったのか作者なりの考察があれば、なお良かった。

名古屋襟を採用している高校をピックアップし、その歴史を紹介している。制服が持つアピールポイントがどのように生まれたか周年誌から拾っているようだ。遡れば戦前になるが、最初から今のような大きな名古屋襟でなかった事実に驚く。戦後しばらくして急に名古屋襟が普及するのだが、その明確な理由について言及が無かった点は残念だ(「体格の成長により…」という記述はあるのだが、その理由だと他県のセーラー服がなぜ名古屋襟にならなかったのか、という話になる)。

最後に、作者がピックアップした名セーラー服のカラーイラストで締めくくる。やはり愛知のセーラー服は首都圏に比べ格段にバリエーションが豊かで、独特の進化を遂げたんだなと思う。

力作の本書だが、少し違和感を感じた点が、タイトルと本誌内容のミスマッチだ。タイトルは「愛知県のセーラー服が可愛い理由。」にも関わらず、その理由は説明はしていない。襟デザインやタイの種類をこれでもか!と紹介しているのだから、それが可愛い理由です!と自信を持って訴えればいいのにと思う。
サブタイトル(「徹底解説!名古屋襟読本」)も少し違和感が残った。名古屋襟の定義付けを私が期待しすぎたせいもあるが、誌面では「名古屋襟に明確な定義はなく関西襟との区別も曖昧(13P)」と作者が述べてしまい、結局名古屋襟とは何なのか?と腑に落ちない感じが残った。名古屋襟とは深い襟のことだけを指すのか、それとも襟カバーなども含めた愛知セーラー服を総称しているのか、作者が本文中で言う名古屋襟の範囲がわかりづらく、本の性格も曖昧にしてしまったのではと思う。

もっとも、タイトルはキャッチーに付けたい作者の意図もあるだろうから、本文の完成度を考えれば、それは些細な話かも知れない。あくまで私の個人的な感想であって、見る人が違えば感想は異なるはずだ。

本書は、愛知セーラー服の解説書としは日本初といってよい試みで、親しみやすいマンガと詳細な説明で、名古屋襟紹介本としてよく出来ている。名古屋襟を知らない他県民こそ、こんなセーラー服桃源郷があるのかと驚きながら読んで欲しい。

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